お座敷一間

上京してきてX年目の社会人が、少しずつ手の届く自分の一間を広げていきたいブログ

TIME

設定が面白かったし、絵面もいい。
ただ、なんとなくチグハグな部分が目立った感じがするのと、テーマがぼやっとしてる印象。

【よかった】
・一寸先の寿命を掴むデッドヒート
・反体制というテーマのカタルシス
・どのプロットでも爽快に主人公が逆転して進むテンポの良さ

プロットが重層で、いろんなことが起こるのは洋画の分厚さ。なんでそうなったの?みたいなとこを置き去りにして、1分の寿命のために走り回るスピード感はいい。監視官に追いつかれても、ギャングに銃口突きつけられても、道路を封鎖されても、ポンポン突破。足手まといになるのかと思いきや、富豪の娘も同じ運動能力。足手まといにやきもきする無駄がなくていい。冒頭の母を救えなかったシーンと、終わり際の1日あれば色々できる(時間を無駄にするな)という前向きな見せ方も、所々刺してくるんだけど、もっとこう…時間という資源は有限だというテーマに落とし込んでネガティヴ終わりなほうが個人的には好みだったかなぁ。なんか最後は銀行襲撃が生きがいみたいな締め方しちゃったから、反体制の素晴らしさを讃えるだけになっちゃってる感じがする。それなら戦争反対のために暗躍するスパイでも、資本主義に対抗する共産マンでも、テーマは変わらなくて。せっかく時間というテーマを使ってる面白みが減っちゃったかなぁ、とか。


【不思議】
・シルヴィの心変わり
・時間を配るという発想に至った理由
・当局は何を危惧していたのか、崩壊する秩序は何か。
・百万年という時間を富豪は何を糧として得ることが出来たのか。
・タイムバトルってなんだったんだ。
・銀行襲撃ちょろすぎないか。どんなセキュリティしてんだ。
・コーヒー4分バス2時間て、物価すごいな。バス高くね。
・100年の人は何を思ってきたんだ。
・親父はなんだったんだ

色々回収されてない話はあるかなぁと。監視官てなんであんな執着したんだろう。あの社会秩序というか、時間のエリア流出を懸念するのは誰だったんだアレ。スラムを管理してるのは誰だったんだ?なぜ流出してはいけなかったんだ?というところで、他の富豪とか政府が描かれない状態で、監視官がかませ犬的になってた感はある。
せっかくかっこいい役所だったんだし、もっとこう…私欲のために時間を集める裏幕とかいても…と思ったけど、それこそ描写の無駄だったのかもしれない。省いて正解だわ。なんかそんな陳腐な敵いらんわ。ということで監視官の描く理想とか正義を見せてくれたらよかったなぁとおもった。

 

なんにせよ、働くという行為は時間を切り売りしてることと変わりないわけで。俺だって今1時間おいくらで明日の飯の種を稼いでる。時間を無駄にするなというテーマ性においては、冒頭のスラム部分はクールだった。あそこだけでよかったのかもしれない。